
最近、50代のお客様から
「実家のことが気になり始めた」
「両親が高齢になってきて、将来どうすればいいのか不安」
といったご相談を受けることが増えています。
私自身も地方の実家に高齢の母が一人で住んでおり、この問題は他人事ではありません。
不動産業界で23年間働いてきた経験と、終活アドバイスでの知識を活かして、
今回は「50代から考える実家の終活」について詳しくお話しします。
なぜ50代が実家の終活を考えるベストタイミングなのか?
50代は人生の大きな転換期です。
子育てがひと段落し、仕事でも重要な役割を担うようになる一方で、
親の高齢化という現実と向き合う時期でもあります。
50代で実家の終活を始めるメリット
1. 親御さんがまだ元気で判断力がある
認知症などが進行してからでは、親御さんの本当の想いを聞くことができません。
元気なうちに話し合うことで、家族全員が納得できる結論を導き出せます。
2. 時間的な余裕がある
急いで決める必要がないため、じっくりと検討することができます。
選択肢を十分に比較検討し、最適な方法を選ぶことが可能です。
3. 経済的な準備ができる
実家の維持費用や処分費用、リフォーム費用など、必要な資金を事前に準備できます。
実家をめぐる「よくある後悔」パターン
私がこれまで相談を受けた中で、特によく聞く後悔のパターンをご紹介します。
【パターン1】空き家のまま放置してしまった
「思い出の詰まった実家を売るのは忍びない」
「兄弟で意見がまとまらず、とりあえず空き家のまま」
このような理由で空き家状態が続くと、以下のような問題が発生します。
- 固定資産税の継続負担:年間数十万円の出費が続く
- 維持管理費用:草刈り、清掃、修繕などで年間20-50万円
- 近隣トラブル:雑草や害虫問題で苦情が発生
- 資産価値の低下:建物の老朽化で売却価格が下がる
【パターン2】兄弟姉妹間での対立
実家の処分について家族間で意見が分かれ、
感情的な対立に発展するケースも珍しくありません。
【よくある対立の構図】
- 長男:「実家は残したい」
- 次男:「維持費が大変だから売却したい」
- 長女:「思い出があるから簡単には決められない」
このような状況を避けるためには、早めの話し合いが重要です。
【パターン3】親の想いを聞けなかった
「実は母は実家を手放すことに賛成だった」
「父は実家を地域の人に活用してもらいたかった」
後からこのような事実を知って、後悔される方も多くいらっしゃいます。
後悔しないための「実家終活」3つのステップ
【ステップ1】親御さんの想いを自然に聞き出す
いきなり「実家をどうしたい?」と聞くのは、親御さんにとって重すぎる質問です。
自然な会話から本音を引き出すことが大切です。
【効果的な聞き方の例】
1.思い出話から入る
- 「この部屋で昔、よく家族でテレビを見てたよね」
- 「お母さんが一番お気に入りの場所はどこ?」
- 「庭の花壇、毎年きれいに咲くね」
2.将来の生活について
- 「この家で過ごすのと、便利な場所に引っ越すのと、どちらがいい?」
- 「もし体が不自由になったら、どこで過ごしたい?」
3.地域への愛着について
- 「近所の人たちとの関係はどう?」
- 「この地域で長く暮らしてきて、どんな想いがある?」
【ステップ2】将来の選択肢を家族で共有・整理
親御さんの想いを聞いた上で、現実的な選択肢を整理しましょう。
【主な選択肢と特徴】
1. 売却する
- メリット :まとまった現金を得られる、維持費負担がなくなる
- デメリット :思い出の場所を失う
- 適用ケース:立地が良く、買い手が見つかりやすい物件
2. 賃貸に出す
- メリット :継続的な収入、所有権は維持
- デメリット :管理の手間、空室リスク
- 適用ケース:賃貸需要がある立地の物件
3. 空き家バンクや自治体に相談
- メリット :地域活用に貢献、社会的意義
- デメリット :収入は期待できない
- 適用ケース:歴史的価値がある、地域に愛着が強い場合
4. 一部を残して活用
- メリット :思い出を残しつつ有効活用
- デメリット :リフォーム費用が必要
- 適用ケース:敷地が広い、立地条件が良い場合
【ステップ3】思い出を「形」に残す
実家を手放すことになっても、大切な思い出は永遠に残すことができます。
【思い出を残す具体的な方法】
1. インタビュー動画の作成
- 親御さんに実家での思い出を語ってもらう
- 家族の歴史や価値観を次世代に伝える
- 専用アプリやビデオカメラで簡単に撮影可能
2. 写真・動画でのアーカイブ化
- 各部屋の風景を詳細に記録
- 季節ごとの庭の様子を撮影
- 家族が集まった時の自然な様子を記録
3. エンディングノートへの記載
- 実家での思い出のエピソード
- 各部屋での特別な出来事
- 近所の人との交流の記録
4. 記念品の選定
- 特別な意味がある家具や調度品を選んで保管
- 写真に撮った上で、一部を形見として残す
- デジタル化できるものは全てデータ保存
私が実際に見てきた成功事例
あるご家族は、両親が元気なうちにインタビュー形式の動画で実家の思い出を記録しました。
父親は最初こそ照れくさそうにしていましたが、話し出すと止まらず、
子どもたちも知らなかったエピソードが次々と出てきました。
「映像にして残しておいてよかった」
そう話す子ども世代は、実家を売却するときも後悔はなかったそうです。
むしろ「思い出が映像として残っている」という安心感が、前に進む力になったのです。
父親も快く売却をする話に応じ、このご家族は次へのステップへと進むことになりました。
実家終活で注意すべきポイント
1. 感情と現実のバランス
思い出を大切にしつつも、現実的な判断も必要です。維持費や将来の管理のことも考慮に入れましょう。
2. 税金面での配慮
売却時の譲渡所得税や、賃貸時の所得税など、税金面での影響も事前に確認が必要です。
3. 地域との関係
長年住んだ地域への配慮も忘れてはいけません。近隣の方々への挨拶や、地域への貢献方法も検討しましょう。
まとめ:今すぐ始められることから
実家の終活は、決して暗いテーマではありません。
家族の絆を深め、お互いの想いを共有する貴重な機会でもあります。
【今日からできること】
- 実家に帰った時に、何気ない思い出話をしてみる
- 親御さんの健康状態や生活の様子を確認する
- 兄弟姉妹と実家について軽く話題にしてみる
- 実家の写真を撮っておく
50代は、実家の終活を始める最適なタイミングです。
親御さんが元気なうちに、家族みんなで納得できる結論を出していきましょう。
私たちここりんくす株式会社では、実家の終活に関するご相談を承っております。
不動産の専門知識と終活アドバイスの経験を活かして、
お一人お一人のご事情に合わせたアドバイスをいたします。
特に「大切な思い出を形に残したい」とお考えの方には、
当社の「リライフメモリーズ」サービスをおすすめします。
終活の専門家が親御さんから実家の思い出や家族の歴史を丁寧に聞き取り、
プロの映像クリエイターが美しい映像として残すお手伝いをいたします。
そして、エンディングノートの作成サポートや終活相談なども付いています。
実家を手放す前に、かけがえのない思い出を永遠に保存しませんか?
まずは小さな一歩から。
今度実家に帰った時に、ぜひ親御さんとゆっくりお話ししてみてくださいね。
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